【冷たい熱帯魚】
園子温監督
吹越満、神楽坂恵、でんでん、黒沢あすか出演
2010年製作
鬼才・園子温監督の衝撃作。1993年に実際に起こった埼玉愛犬家連続殺人事件に基づいて製作されています。R-18です。
【あらすじ】
熱帯魚店を営む社本は現・妻の妙子と前妻の娘、美津子と共に暮らしています。気弱で堅実な性格の社本は不仲な妙子と美津子の間で何もできずにいました。美津子が家族での食事中、彼氏と会いに飛び出して行っても叱ることもできません。隠れて煙草を吸う妙子にも気付かぬふりをします。
ある日、美津子が万引きをしたスーパーから呼び出され社本と妙子が出向きます。通報すると怒り狂う店長を突然現れた村田という男がなだめます。村田のお陰で警察沙汰になるのを免れ、三人は村田の営む熱帯魚店に誘われます。話術に長け、明るく勢いのある村田に妙子と美津子は好感を抱き、社本も戸惑いの中、ペースに乗せられていきます。
村田の提案で更正のため、美津子が村田の熱帯魚店で住み込みで働くことになります。美津子の様子を見に来た妙子は村田に美津子との不仲や社本への不満を暴かれ強引な村田に身を委ねてしまいます。その後、社本も村田に呼ばれ、ビジネスパートナーに勧誘されます。目の前で高額で熱帯魚を売り付ける村田に、社本は疑いを持ちますが、村田が契約を取り付けた男を毒殺するのを目の前にし共犯にされてしまいます。引き返すことができなくなった社本は村田の常軌を逸した「ビジネス」にどんどん巻き込まれてしまいます。
【みどころ】
激しいストーリー展開に目が離せなくなりますが、みどころは役者さんの熱演合戦。
主役の吹越満さん、村田役のでんでんさん、村田の妻役の黒沢あすかさん、この三人の勢いには押されっぱなしになります。主役の社本は序盤でこそ大人しく無力な男ですが、村田に引き出されたかのように内から狂気を表出させます。どんどん変わっていく吹越さんの存在感が凄いです。
巧みに心の隙に入り込み、洗脳する村田。娘に怒りもできない社本に喝を入れるシーンは何故だかとても説得力を感じて涙してしまう、という観客さえも洗脳してくるでんでんさん演じる村田も凄いです。
なんせR-18です。子供連れはお避けください。デートにも向きません。
【この映画にまつわる個人的コラム】
定期的に観たくなる、中毒性のある園子温監督の作品。この「冷たい熱帯魚」も何度観ても飽きません。やはり何といっても役者さんたちに魅力があります。園子温映画の常連キャストさんたちは誰ひとり脇役というものがないような気がします。それぞれが人生を持つ人間として魅力的に演じ切られているのが凄いです。
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