【嘆きのピエタ】
キム・ギドク監督
イ・ジョンジン、チョ・ミンス出演
2012年製作
スポンサーもつけずに監督の自費で低予算で撮り、俳優のギャラはヒット次第の出来高制、と独特な映画製作を行う韓国のキム・ギドク監督作品。早撮りもお得意でこの作品も十四日間という短期間で撮影されました。
イ・ガンドという借金取り立て屋の男が主人公です。彼がする取り立ては金を返せない債務者を足を折ったり手を切断したりして障害者にしてしまい、おりた保険金で借金を返済させるという非情っぷり。債務者たちがガンドに向ける憎しみの顔を見ても動じないガンド。ガンドは一人きりでアパートに住んでいて、食事のシーンが面白くガンドは鶏やウサギなどを捕まえてきてはバスルームで殺し、肉を調理するのです。そんなワイルドで冷血なガンドの前に母親だと名乗る女が現れます。ガンドはなかなか信用しません。最初は相手もせず追い払うのですがガンドの外出のたびについて回ったりしつこく家のベルを鳴らしたり。ガンドはいよいよ家に入れ、問い詰めます。お前は何者だ?本当に母親なのか?
女は泣きながらガンドを産んですぐに逃げたこと、30年も会いに来ようとしなかったことを詫びます。ガンドは苛立ち母親なら喰えるだろうと自分のどこだかの肉片を食べさせたり(汗)、犯そうと襲いかかったり。女はガンドの言いなりで何でもしようとしていましたが襲われそうになったとき声を震わせて泣き始めたのです。そこでガンドは手を止め、泣いている女の横で疲れきって眠りにつきました。その日から徐々にガンドに変化が起こります。女を母親として受け入れ始め、債務者への暴挙にも慈悲が表れるのでした。大切な存在ができてしまったガンドは債務者からの復讐を恐れ始めます。町で偶然出くわしたガンドによって障害者にされた男が家までやって来て、母親を盾に取られたこともありました。その時は間一髪で難を逃れますが、ある日母親が戻ってこなくなりました。かかってきた電話で母親が泣き叫ぶのを聞き、ガンドは女を探しに行きます。
そしてガンドは衝撃の事実を知るのです。キム・ギドクがストレートに終わる訳がありません。想像を絶するラストには深く胸を打たれます。激しい描写もあるので注意ですがぜひ観ていただきたい作品です。
【この映画にまつわる個人的なコラム】※読まなくても可。笑
この作品でキム・ギドク監督は、ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を獲得しました。きっと無事に俳優たちもギャラをもらえたことでしょう。
ちなみに韓国の映画で三大国際映画祭(ヴェネツィア、カンヌ、ベルリン)で最高賞を受賞したのはこの作品が初だそうです。キム・ギドク監督、すごいです。
0コメント