today's movie column … 【Monster's Ball】

【チョコレート】
マーク・フォスター監督
ハル・ベリー、ビリー・ボブ・ソーントン、ヒース・レジャー出演  2001年製作
   監督は西ドイツ出身のマーク・フォスターという人で、ジョニー・デップ主演「ネバーランド」やダニエル・クレイグ2作目となる「007慰めの報酬」で知られています。作風は作品ごとに違う多才な監督さんで、この「チョコレート」は切実で衝撃的な恋愛映画です。

 ハル・ベリー演じるレティシアとビリー・ボブ・ソーントン演じるハンク、黒人女性と白人男性のラブストーリーなのですが、設定が非常に重いです。死刑囚の夫と過食症の息子を持つレティシアと親子三代で看守に従事するハンクは重なる偶然を辿り、出会うことになります。
 偏屈な父の元で育ったハンクは看守の仕事に馴染めない若い世代の息子ソニー(ヒース・レジャー)との間で内心は揺れ動いていました。ある時ソニーは死刑執行の重責に耐え兼ねてその場で嘔吐してしまいます。憤慨したハンクは家に帰り、そんなソニーを弱すぎると殴り飛ばし、激昂し、出ていけと迫ります。ハンクのあまりの激しさに拳銃を持ち出したソニー。父親に向けていた銃口を、自分に向けて引き金を引いてしまいます。「父さんは僕が憎くて仕方ないんだろう。僕は父さんをずっと愛していたのに。」という言葉を残して。

この後、夫の死刑が執行され、不幸にも交通事故で息子を失ってしまったレティシアとハンクが出会います。愛する者を失った失意のどん底のふたりの激しいラブシーンは、官能的というより切実な心の痛みが伝わってきて涙を誘います。死刑囚だった夫の死刑執行を担当したのがハンクだったとレティシアが知ってしまうラストの下りが非常に良いです。この映画見所が多いですがラストシーンが素晴らしいです。一見の価値ありです。観る人で抱く感想が違うラストだと思います。


【この映画にまつわる個人的なコラム】※読まなくても可。笑

 原題よりも邦題の方が良いということってあんまりないと私は思っているのですが、この映画に関しては、内容や伝えたいことに邦題の方が合っていて良いタイトルだなと思います。ラストのシーンで二人は星が瞬く夜空の下で甘いチョコレートアイスを食べます。人種差別の問題も含めた中でのラブストーリーなのですが、甘く有色のチョコレートアイスを、不思議な距離感のふたりが食べるシーンが複雑ながらも良い余韻を残します。この映画が伝えたいこと、タイトルが効いてくる余韻だと思います。
  ちなみに原題の「Monster's Ball」は怪物たちの舞踏会という意味で死刑執行前に看守たちが行う宴会のことだそうです。
  ハル・ベリーはこの作品でアカデミー主演女優賞を授賞した後、ボンドガールを勤めるなど実力派女優となりました。
 ぜひぜひご覧ください。あ、でもラブシーンとか激しいシーンがあるのでお子様同伴はお控えください。


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