【めぐり逢わせのお弁当】
リテーシュ・バトラ監督
イルファーン・カーン、ニムラト・カウル出演 2013年製作
長編は本作がデビュー作品になるインドのリテーシュ・バトラという監督による何とも素敵な大人のラブストーリー。
インドのムンバイで125年も続く伝統的な組織ダッバーワーラー(弁当配達人)をモチーフに見知らぬ男女が出逢います。そのきっかけは誤配達。(実際は誤配達は600万分の1との割合でほぼ間違えない!との自負があるそう。)
そっけない夫に寂しさを覚えた主婦イラは美味しいお弁当を作ることで気を引こうとします。しかし夫に作った弁当は早期退職を控えたビジネスマン、サージャンに届いていました。妻を失い独り身で、淡々とした生活を送っていたサージャン。夫に弁当が届いてないことを察したイラの、見知らぬ相手に宛てて弁当箱に忍ばせた手紙から文通が始まります。浮気をしているかもしれない夫への不安や家族の悩みを綴るイラの相談に乗るような形で手紙のやり取りは続きますが古風でいじらしいイラにいつしかサージャンは心を寄せていきます。
実際、このダッバーワーラーという弁当宅配のシステムを利用してやり取りしたりする夫婦も少なくないとか。つれない夫に悩む若い主婦が他の男性に心を移していく、と聞くと何だか不倫な、よろしくないストーリーになりますが、なんとも自然に心の寄せ合いが描かれていて相手の男性も非常に魅力的でなんだか納得してしまう、可愛らしくも危険な作品なのです。現代のインドの生活の様子も知れて興味深いです。
「人は間違った電車でも正しい場所につく」とはサージャンの言葉。結婚生活も経験し愛する人を失ったサージャン。何を思いこの言葉を言ったのか、色々思い巡らせる余白のあるラストです。
【この映画にまつわる個人的なコラム】※読まなくても可。笑
インド映画と言えば歌って踊って、を想像しますがこの映画には一切ありません。インドの実生活の様子が楽しく、生真面目な主役二人の周りの面白キャラたちがほんのり笑いを添えます。サージャン役の俳優さんがナイスミドルで渋カッコいいのも見どころです(*´・ω・`)b
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