【少年と自転車】
ジャン=ピエール・ダルデンヌ&リュック・ダルデンヌ監督
トマ・ドレ、セシル・ドゥ・フランス出演 2011年製作
ベルギー出身の兄ジャン=ピエール・ダルデンヌと弟リュック・ダルデンヌの兄弟が二人で監督。初期にはドキュメンタリー作品が多いのですが、この作品も2003年に日本で開催された少年犯罪シンポジウムで聞いた育児放棄の実話に着想を得たそうで、子どもを取り巻く社会問題を扱う作品が多いように思います。
この作品に出てくるのは、父親に捨てられ児童養護施設に入っているシリルという少年。12歳になる頃、美容院を営むサマンサという女性と出会い、里親になってもらうことになります。シリルはサマンサの力を借りて父親探しを始め、ようやく再会を果たすのですが…
サマンサの家で二人の生活が始まっても12年も施設に入れ、家族という関係性を知らないシリルとは、とにかく噛み合いません。サマンサには驚くような行動ばかりシリルはします。これがとてもリアルです。そして、しみじみ、悲しくなります。
それによく見ていると、この境遇でシリルの行動は全くもって受け身ではないところが泣けてきます。不幸な現実を自身のリアルとして受け入れて黙々と自分の意思で動いています。
気が付けば、サマンサ同様、スクリーンの前で手を握りしめてシリルを見守る自分がいました。言葉で言い表すことができないシリルの行動が伝えてくるもの。ラストは非常に何気ないのですが、ずしりときます。
【この映画にまつわる個人的なコラム】※読まなくても可。笑
映画にはまり、観まくっていたらヨーロッパ映画にたどり着きました。ヨーロッパの監督さんで小津安二郎という日本の監督を好きな人が非常に多いのを知り、小津安二郎作品も観るようになりました。逆輸入です。
ダルデンヌ兄弟も小津安二郎監督を敬愛していて来日時は小津安二郎の鎌倉にあるお墓へ墓参りに行くそうです。
0コメント