today's movie column … 【Before sunrise】

【before sunrise】 

リチャード・リンクレイター監督

イーサン・ホーク 、ジュリー・デルピー主演 1995年公開

映画コラム第二弾はbefore sunriseという映画です。これはアメリカ映画でアメリカの俳優イーサン・ホークが主演していますが、作中、旅先で出会うフランスの女優ジュリー・デルピーとの、オーストリアはウィーンを舞台としたラブストーリーで、異国を旅し、異国の人間と出会い、真正面から対峙することでその価値観や気質などの個性を含めて受け入れていくような大きなテーマを持つ壮大な恋愛のお話に仕上がっています。

 大げさに書きました。でも大げさじゃないんです。すごいんです。すごさのポイントは以下の3つです。

1、とにかくしゃべる。

 主演の二人は旅先、列車内で初対面。車内で大きな声で喧嘩する夫婦に辟易し、近くに座っていた二人の目が合います。言葉を交わし彼女が持っていた本から話を合わせた彼の上手なおしゃべりに意気投合、ビュッフェ席に移りこれから長く続く会話がスタートします。映画は会話で進行していきます。ただただ日常の会話です。見知らぬ同士のふたりが知り合っていくまで個人的な考え、他愛もない思い出話を共有しながら会話はひたすらに続くのです。

2、1日を描く

 二人が出会い、次の目的地を目指して二人がそれぞれの旅路に戻るまで。猶予は翌日の朝。朝日が昇るまで。丁寧に時間軸に沿って物語は進行します。ちょっといいなと思う人と出会い、話が続き盛り上がってしまう時。こんな時間を辿るのではないでしょうか。気が付けばドキドキしながら映画の中の時間を一緒に過ごしてしまっています。

3、ぞくぞく続編ができる

 映画の中の二人は約束をします。細かい内容の紹介は割愛しますが、その約束の時間が流れ、それぞれがそれぞれの消息を掴めなくなって数年後、ストーリーは再開します。9年後です。実際の年月も同じ9年が経ち、同じ監督・俳優が揃い続編を作りました。【before sunset】です。20代だった二人は30代になり、それぞれの生活を持っています。それでもそのたった1日の出会いは二人の心の中にずっと、そっとありました。その思いが9年の時間を越えて二人を再会させました。そして、さらに9年後です。その後の二人のストーリーを【before midnight】として展開してくれました。これは2013年に製作されました。歳を重ねた大人のストーリーです。全て同じキャスト、スタッフで製作されています。主演のイーサン・ホークとジュリー・デルピーはさらにそれぞれに監督した作品を持っていて、その映画は観るとこのbeforeシリーズの作りのように丁寧に時間を辿る家族や恋愛の人間ドラマです。どれくらいの影響を役者さんたちにも与えた映画だったのかが伺えますよね。


1本はすべて90~100分と、コンパクトで上手にまとまっているので非常に観やすいと思いますので、ぜひぜひ異国を旅するように二人の時間を一緒に辿ってみてください。


【この映画にまつわる個人的なコラム】※読まなくても可。笑

 最初のbefore sunriseを手にしたきっかけが何だったか改めて思い出そうとしたのですが思い出せません。映画館で働いて映画を覚えた頃に観まくっていた中の1本だったと思います。邦題ではbefore sunriseは、「ビフォア・サンライズ 恋人までの距離」と書かれています。距離のところには括弧して(ディスタンス)と書き添えられています。どう売り出したかったんだろう…、興行成績は当時とくによくなかったようです。以降の作品から変な邦題は付けられなくなりました。邦題で良くなる作品と台無しにされる作品がある気がします…。ともあれこの映画はじわじわと、この作品の中の二人のように長い時間を掛けて、良さが浸透していったのだと思います。

休日の過ごし方

How do you spend your holidays? 今度の休日、なにしよう? 映画、旅、おでかけ情報などをコラムと共にお届け!暇つぶしになるとうれしいです。

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