【 A.I 】スティーブン・スピルバーグ監督
ハーレイ・ジョエル・オスメント主演。2001年公開
所蔵しているビデオケース(ビデオ笑)にはこう書いてある。
「スピルバーグが贈る愛と感動のSF超大作」
しかしながらこれはスピルバーグ監督だけからの贈り物ではなく、原案はスタンリー・キューブリック監督なので、
「キューブリックとスピルバーグが贈る愛と感動のSF超大作」であります。
ダークでシニカルなスタンリー・キューブリックの温めていた原案をSFエンターテイメントの超プロ、スピルバーグ監督が映画化。なんて素敵なタッグでしょう。時間を感じさせないめくるめく展開ですが、しっかり中身のあるエンターテイメントです。
現在、1982年に公開した「ブレードランナー」の続編「ブレードランナー2049」が公開されていますが、関連させて今一度観ておきたい映画です。現在どんどん進化する人工知能について。人間としての立場が問われる、こちらも古びない作品。
どの作品も今見ても楽しめる、普遍的なテーマを帯びるスピルバーグとキューブリックの合作です。子どもさんが観ても楽しめるし考えるヒントにきっとなることでしょう。
【この映画にまつわる個人的なコラム】※読まなくても可。笑
2001年6月公開初日、私は新宿ピカデリーという映画館の「もぎり」に立っていました。少し大きめの黒いTシャツに制服のグレーのスカート。TシャツにはA.I.のロゴ。
現在のシネコンとして改築される前のまだ「劇場」と呼ばれていた頃の新宿ピカデリー。
当時私は20代。神戸育ちの私は新卒で勤めた会社を辞めてなぜか上京したのです。
小さな編集会社に転職したのですが、軟弱者の私は大都会・東京であっさり遭難。そしてなんとか東京に留まろうとして流れ着いたのがこの映画館でのアルバイトでした。仲間にはいろんな人がいました。役者や画家や音楽、映画監督を志す人、何かやりたい人が集まっていてみんな映画が好きでした。それまで映画なんてデートや友達と会う時の娯楽のひとつだったのが、映画愛溢れる人たちの熱心な話を聞いたり映画を観まくるにつれて(新宿中の映画館をタダで観れた)、映画愛への深みにはまっていきました。それ以降は映画を観に行くときはほぼ一人、私の中で映画はじっくり味わう芸術作品に変わっていったのです。
やっぱり軟弱者の私は神戸に戻ることにして東京を後にし、10数年が経った今、古い新宿ピカデリーの建物はもうなくなってしまったし、当時の友達とのつきあいは絶え絶えになりましたが、軟弱者で飽き症な私に映画鑑賞という履歴書にも立派に書ける(?)趣味が確立されました。映画館で勤めたこと、映画を観る喜びを教えてもらえたこと、その始まりを考えるとき、この「A.I.」という作品を思い出すのです。
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