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【百円の恋】
武正晴監督
安藤サクラ、新井浩文出演
2041年製作

 監督は武正晴さん。本作で日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞しています。「戦う女の映画」をテーマに書かれた足立紳さんの脚本を映画化しました。山口県周南市で行われている映画祭で脚本賞を獲っていて本作も県内の動物園や海岸などが舞台としてでてきます。主演の安藤サクラさんもこの作品で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞しています。むちゃくちゃ格好悪くてむちゃくちゃ格好良いサクラさんに心揺さぶられる名作です。


【あらすじ】
 斎藤一子(いちこ)は実家暮らしの32歳。家族経営の弁当屋で出戻りの妹の二三子が店を手伝っていますが一子は手伝おうともせず自堕落に昼に起き、甥っ子とゲーム三昧。すねかじりで文句ばかり、働かない一子に見かねた二三子といつもの小競合いから大喧嘩に発展。殴り会う姉妹を見て母に出ていってと大泣きされた一子は家を出ていくことにします。
 家を出た一子はアパートを借りて仕事を見つけます。そこは夜な夜な通っていた百円均一のコンビニでした。うつ病の店長におしゃべり男の同僚、おかしな人々の中、一子は初めてのバイトに集中します。ぼんやりとした自活生活の日々、近くにあるボクシングジムが気になります。汗を流すボクサーたちの姿に目を奪われる一子。いつもバナナを買いに来る、おしゃべり男がバナナマンと呼ぶ男、狩野に一子はデートに誘われます。


【みどころ】
一子役の安藤サクラさんの熱演が光ります。前半はどうにも怠け者な緩みきった体の一子ですが、ドン底な境遇でボクシングを始めて集中度が増していくにつれ一子の顔つきと体つきは人が変わったよう。
 一貫して痛くて辛い一子の奮闘記なのですがそのベクトルが変わる瞬間が爽快です。私もなんかやるかしら、そんな気持ちにさせてくれます。どうせ痛くて傷がつく人生なら向かえ打ってやろうじゃないの。一子の気迫は愛した男をダメ男からイイ男に変えてしまいます。ラストシーンは女子?なら悶え死にしそうなキュン度です。イイトシだとしても悶え死にましょう。(°∀°)


【この映画にまつわる個人的コラム】
 安藤サクラさんは園子温監督の「愛のむきだし」で気になった女優さんでした。プライベートでは柄本佑さんと結婚されている二世同士の夫婦です。二人とも味のある格好いい役者さんで大好きです。ちなみに親御さんが超有名な二世さんでは寺島しのぶさんとかハマオカモトさんが好きなのですが、自分の環境に囚われず、もしくは活かして自分の個性を開花させているのが素敵だなあと思います。
  話がそれましたが本作のもう一人の主役、ボクサー・バナナマンこと新井浩文さんもとても素晴らしいです。ふてくされて口では一子をバカにしながらも惹かれていく自分にそっと気付いていくような、粗野さとデリケートさを好演していました。
 それからラストシーンに重なってくるクリープハイプの唄がとても印象的です。この映画のために書き下ろされた「百円の恋」。個性的な声と楽曲に「独特な世界観」というぼんやりした評価をされることを皮肉って自分の名前を尾崎世界観としてしまったボーカルさんもとても魅力的です。

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